新 年 辞  本年も在日コリアンの人権課題にとことんこだわっていきます - 一般社団法人在日コリアン・マイノリティー人権研究センター

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新 年 辞  本年も在日コリアンの人権課題にとことんこだわっていきます

【投稿日】2026年2月3日(火)

 2026年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。日頃よりKMJの活動にご尽力・ご支援をたまわり、無事に新年を迎えることができましたことを心よりお礼申し上げます。
 昨年は、戦後80年という節目の年でした。しかしながら日本の侵略戦争にたいする謝罪や反省の言葉は政府関係者からは聞くことなく、ますます風化の道を突き進んでいるように思えます。それどころか、石破政権の後を受けて発足した高市政権は、殺傷能力のある武器輸出のための規制緩和や「国際情報局」の新設、「スパイ防止法」の制定、さらに「非核三原則」にまで手をつけようとしており、まさに『戦争をする国づくり』に邁進しています。
 また由々しきは、国際情勢の緊迫化と日本人の不安・不公平感を解消するという名目で、次のように外国人政策の厳格化を推し進めようとしています。①経営・管理ビザの取得要件の厳格化②在留資格の見直し・厳格化③帰化要件の厳格化④外国免許切換手続きの厳格化、社会保険制度の厳格な運用、高校無償化制度からの外国人学校および在留資格での排除⑤不動産取得の制限・管理の厳格化、です。昨年の入管法の改正で、永住資格の取り消し要件も厳格化されました。このように日本の外国人政策は戦後一貫して「管理」と「排除」であり、「煮て食おうが焼いて食おうが自由」(池上努『法的地位200の質問』1965年)という発想は何ら変わっておらず、むしろますます深刻化しています。
 KMJでは昨年、微力ながら個別・具体的な取り組みを行ってきました。(株)オプテージにたいして、本人確認で「特別永住者証明書」を除外していることについて、質問書を提出。本人確認書類を本人の意思によって選択できるよう要請しました。入居差別を受けたKMJ会員さんの相談を受けて、不動産会社、オーナー、埼玉県にたいして要請を行いました。本件はさらにステージをすすめ、埼玉県による実態調査の実施や入居差別を禁止する条例の制定を求めていきたいと思います。ヘイトコラムを掲載した週刊新潮にたいして要望書を提出しました。しかし、その回答は不十分であり、引き続き協議していきたいと思います。他、各種セミナーを開催し、啓発活動を推進してきました。参加者数は決して多くはありませんが、心ある方々が共に学び、共感しあう場となっています。今年もひきつづき各種セミナーを充実させていきます。

 外国人排斥の風潮がまん延する中で、個別・具体的な取り組みはますます重要となってきますが、それを強化・補完するための法・制度の策定を引き続きもとめていかなければなりません。日本は多くの国連人権条約関係委員会から「包括的差別禁止法」や「国内人権救済機関」の設置を求められていますが、いまだに取り組もうとしません。また、管理や規制ばかりで外国人の人権や生活を保障するための法・制度(外国人基本法など)の制定は議論にもなりません。昨年の12月16日に日本経済団体連合会が「転換期における外国人政策のあり方」を発表し、そこで「外国人基本法」の制定を提言しました。KMJの今後の取り組みの一助となるのか検討したいと思います。そして参政権をどう獲得していくのかを、広く実効性のある議論をしていく必要があるでしょう。
 昨今発生している在日外国人にたいする差別問題の原点は、戦前から今に至るまで非人権的存在にされている在日コリアンです。ゆえにKMJはこれからも在日コリアンの人権課題の克服に拘っていきます。その上で、心あるKMJの会員様や草の根で活動している方々と連携し、現代的課題に取り組んでまいります。本年もどうぞよろしくお願いします。(理事長 呉時宗)