2022年のヘイトデモ  最盛期に近い数まで増加 - 一般社団法人在日コリアン・マイノリティー人権研究センター

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2022年のヘイトデモ  最盛期に近い数まで増加

【投稿日】2023年3月20日(月)

 ヘイトデモを監視・分析している「レイシズム監視情報保管庫」によると、2022年に全国で発生したヘイトデモ数は358件で、昨年(289件)に比べて69件増加したことがわかった。さらに、ヘイトデモの最盛期であった2013年(379件)2014年(489件)に近い数字まで増加しており、ヘイトスピーチ解消法施行(2016年)やコロナ禍のによる減少傾向にあったが、再び息を吹き返してきたといえる。

 ヘイトデモの内容は、街宣が266件と最も多く、続いて選挙活動が59件となっている。公職選挙法の傘の下、ヘイトスピーチが野放しにされている現状が続く。
 傾向としては、参議院選挙時や自治体でヘイトスピーチ禁止条例や人権条例などが準備されているところで、差別団体がヘイトデモを繰り返している。特に昨年は、東京都武蔵野市で外国籍者もふくめた住民投票条例案が提出された際に多数のヘイトデモが行われた。また、正面から差別者と闘っている川崎ふれあい館の崔江以子さんを狙ったヘイトも多い。

一方、毎年ヘイトランキングをつけている「#NoHateTV」では、沖縄ヘイトを繰り返した「ひろゆき」氏を2022年のヘイト王とした。ひろゆき氏は沖縄の基地反対運動を冷やかし馬鹿にする動画を流し、多くの支持を得た。上から目線の冷笑主義的な差別行動が、一定数の支持を得ていることに恐怖を感じる。そしてメディアは彼をテレビに出し続ける。

 主催者の安田浩一さんは「在特会はもはや必要としない社会になった。私たちの社会は『死ね、殺せ』と怒鳴りながら練り歩く隊列を必要としないほどに社会が差別化している。かつての在特会と同じことを私たちはしている。『死ね、殺せ』という言葉を必要としないでも十分に差別的である。平場の差別、日常生活の差別の方がワッペンをつけた隊列よりも怖い局面がある」として、日本社会が劣化し、差別に対して麻痺していることに警鐘を鳴らす。
 我々も今後の動向に注視し、ヘイトデモに対抗していかなければならない。(高)