【声明文】  関東大震災時朝鮮人・中国人虐殺100年を向かえるにあたって - 一般社団法人在日コリアン・マイノリティー人権研究センター

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【声明文】 関東大震災時朝鮮人・中国人虐殺100年を向かえるにあたって

【投稿日】2023年8月10日(木)

 今よりちょうど100年前の9月1日、首都圏を襲った巨大地震により約10万5千人の方々がお亡くなりになりました。まずは、犠牲になられたすべての方々に深く哀悼の意を表します。

 さて、震災直後から意図的に流布された流言・蜚語によって、何の罪のない朝鮮人や中国人が住民による「自警団」や警察・軍隊によって虐殺されました。その犠牲者数は、6千人にもおよぶと言われています。100年前にこの日本社会でジェノサイドが行われたのです。

 しかし昨今、教訓とすべき100年前の虐殺の歴史が、改竄されようとしています。

 東京都の小池百合子知事は、1973年以来続けられてきた、都知事による関東大震災朝鮮人虐殺追悼式典への追悼文送付を、知事に就任した翌年の2017年から今日に至るまで取り止めています。小池知事はその理由を「さまざまな歴史認識がある」ので、「大きな災害、それに続く様々な事情で亡くなられた方」を区別することなく追悼するという立場をとっています。

 また、先般、野党議員によって実に100年ぶりに国会で本件についての国としての謝罪と真相の究明を求める質問が行われました。しかし、政府は「政府として調査した限り、事実関係を把握できる記録は見当たらず、仮に指摘の資料を確認しても、内容を評価することは困難」と一蹴しました。

 今日に至るまで、関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺については、数多くの歴史研究者や市民団体が実証研究と幾多の証言収集と分析によって虐殺の歴史事実をひもといてきました。さらに内閣府中央防災会議による『災害訓練の継承に関する専門調査会報告書』(2008年3月)の第2編「1923 関東大震災」には、内務省、軍部、官憲、流言蜚語、そして自警団が大震災時における朝鮮人虐殺にどのようにかかわっていたのか、詳細に報告しています。

 その経緯を振り返るならば、小池知事も政府も、歴史研究の成果と中央防災会議報告に誠実に向き合おうとしない意図的な言動であり、歴史改竄を助長するものであると言わざるを得ません。

 昨今、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムが頻発しています。「川崎市ふれあい館」への殺害や爆破の脅迫、韓国民団愛知県本部、名古屋韓国学校、京都府宇治市のウトロ地区の民家等への連続放火事件、コリア国際学園への放火事件、JR赤羽駅で「朝鮮人コロス会」の差別落書などは記憶に新しいところです。そして災害がおこるたびにSNSでは「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「外国人が集団で暴動している」などのデマがまき散らされています。いま、日本社会は新たなジェノサイドを生み出す状況にあるのです。

 これらは100年前の虐殺が教訓化されなかった結果でもあると言えます。

 KMJは100年を迎えるにあたって、日本社会が虐殺の歴史と真摯に向き合い、教訓化し、そして、新たなジェノサイドを発生させないために以下について求めていきます。

1.日本政府に対して、関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺について真相究明のための調査を行い、謝罪をすることを求めます。

2.小池百合子東京都知事に対して、歴代の都知事が行ってきた朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文送付を再開するよう求めます。

3.日本政府に対して、新たなジェノサイドを生み出さないために、「外国人人権法」(仮)および「包括的差別禁止法」(仮)を策定するよう求めます。

 最後に、関東大震災時朝鮮人・中国人虐殺については、日本人を中心とした市民団体が長い年月をかけて、その真相究明と追悼事業をされています。そのことに深く敬意を表するとともに、KMJとして連帯していきたいと考えます。


一般社団法人在日コリアン・マイノリティー人権研究センター(KMJ) 理事長 呉 時 宗