【投稿日】2025年4月22日(火)
株式会社オプテージ(名部正彦:代表取締役社長、大阪市)が運営する携帯電話サービス「mineo」(マイネオ)で携帯電話の契約しようとした在日コリアン2世の方が、本人確認書類に特別永住者証明書を提示したところ、それでは受け付けられないとして契約を拒否されたと、KMJ会員より相談を受けた(在日コリアン人権相談ホットライン)。早速調査したところ、事実であったので、KMJは4月1日付けで、オプテージにたいして質問書を提出した。
質問書の内容は以下の通り。
当センターは在日コリアンをはじめとする在日外国人の人権問題にたいする啓発・研究を行っている社団法人です。1970年代おこなわれた日立就職差別裁判闘争の勝利を契機に結成された「民族差別と闘う連絡協議会」の後継団体の一つであり、現在でもさまざまな民族差別事件に対応しています。
さて、先月(3月)当センター会員より以下のような相談がありました。
①会員の知人(在日コリアン2世)が、御社が運営 する「mineo」で携帯電話の契約をしようとした 際、本人確認書類としてご本人が「特別永住者証 明書」を提示したところ、本人確認書類としては 認められないとして、契約ができなかった。
②その理由を尋ねたところ、「弊社の方針」との一 点張りで、納得できる理由をいただけなかった。
③本人確認書類として「特別永住者証明書」を提示 しているにもかかわらず、契約を拒否するのは人 権侵害ではないのか。
会員からの相談を受け、当センターは御社の「mineo」ホームページやコールセンターに連絡を入れるなどして調査したところ、以下について確認できました。
①「mineo」ホームページにおいて指定されている 本人確認書類は以下の通りであった。
・運転免許証
・運転経歴証明書
・パスポート
・個人番号カード
・在留カード
・外交官等住居証明書
②コールセンターで、以下について確認した。
・「特別永住者証明書」を本人確認書類に指定しな いのは「弊社の方針」。
・「運転免許証」や「個人番号カード」は可能。
・「在留カード」の場合は補助書類の添付が必要。
旧植民地出身者とその子孫にあたる在日コリアンは、戦前の「協和会手帳」にはじまり、戦後の日本生まれであっても、指紋の押捺など常に「管理」の対象として「外国人登録証明書」(外登証)の常時携帯と提示を義務づけられ、その違反者は刑事罰を科せられました。日本の朝鮮植民地支配の犠牲者である在日コリアンにたいして過剰なまでの管理政策をおこない、人権を侵害してきたのが、外国人登録法や旧入管法であり、「外登証」でした。かつては「犬の監察票」とまでいわれました。このような理由から「外登証」は在日コリアンにとっては「差別の象徴」であり、屈辱的なものでありました。
ゆえに私どもは、本人確認の際に、強制的に「外登証」の提示を求めることは、在日コリアンにたいする人権問題であるとし、それらをおこなっていた企業などに是正を求めて、改善させてきました。
2012年より「外登証」が在留資格によって「特別永住者証明書」と「在留カード」に分けられましたが、それらも「外登証」(外国人登録法)の系譜を踏むことから、強制的に提示を求めることは人権問題であるとの認識をもっています。
したがって、御社が在日外国人にたいして「特別永住者証明書」や「在留カード」の提示を強制していないのは、在日外国人の人権に配慮しているものと推測しています。
しかしながら、「在留カード」は認めて、「特別永住者証明書」は認めないというのは理解できません。
私どもは、いくつかの選択肢があり、その中から本人が「特別永住者証明書」もしくは「在留カード」を選択したのであれば、それは本人の意志であり、上述した在日外国人にたいする人権侵害にはあたらないと考えます。それを在日外国人だからといって強制することが問題なのです。
今回のケースは、本人が自身の意思で「特別永住者証明書」を提示されました。法的にも機能的にもそれは「在留カード」と変わらないはずですが、御社は「弊社の方針」として拒絶、契約から排除し、本人に不利益を被むらせました。本人は「差別を受けて大変傷ついた」と感じております。
日常生活に於いて、考え方の違いや誤解などから相互不信となり、トラブルに発展するケースは多々見受けられます。それが差別や偏見に繋がることもあります。そんな時こそ、率直に意見交換し、信義誠実の原則のもと、相互理解に努めることが必要ではないかと考えます。「差別を受けて傷ついた」と当事者が感じたのであれば、企業の社会的責任やコンプライアンスの観点からも、御社にはそれを受けとめ、誠実に対応する責任があるものと考えます。そのような認識の下、以下について質問しますので、ご回答いただきますようお願いします。
1.御社が本人確認書類に「特別永住者証明書」を 指定しない(弊社の方針)理由について詳しく お教え下さい。
2.私どもの見解についての御社の考えをお教え下 さい。
以上について、4月25日までに文書にてご回答ください。
質問書で指摘しているとおり、特別永住者証明書の強制は人権問題であるが、選択肢からは外すのは個人の「選択の自由」の権利を侵害することになるのではないだろうか。本件は、オプテージだけでなく数社確認している。まずはオプテージからその理由を詳しく聞くこととする。