民族差別・排外主義に歯止めがかからない日本社会 - 一般社団法人在日コリアン・マイノリティー人権研究センター

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民族差別・排外主義に歯止めがかからない日本社会

【投稿日】2013年3月11日(月)

最近、民族差別事件や排外主義にもとづくヘイトクライム(憎悪犯罪)があいついで発生している。まずはそれらを紹介したい。

文部科学省が高校無償化制度から朝鮮学校を除外していることは、「政治的判断に基づき、特定のマイノリティ集団に対して教育の権利を制限することは、日本も批准している複数の国際人権条約に違反する差別的政策である」などとの声明をアムネスティ日本支部が発表した(1/10)。

日本政府は、朝鮮学校への適用の根拠となる規定を省令から削除しようとしている。

このような朝鮮学校に対する差別的対応はすでに国連の人権委員会などで何度も勧告が出されている。

婚約相手だった兵庫県内の自治体の男性市議に、自分の祖父が在日韓国人であることを告げたところ、婚約を破棄されたとして、大阪市内在住の女性が550万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしている(昨年10月)。

市議は「政治的信条などから結婚できない」「婚約は成立していない」としている。

過去には、日本人男性から国籍を理由に婚約を破棄されたとして韓国籍女性が男性に慰謝料などを求めた訴訟で、大阪地裁は「民族差別の存在に起因した迷いから婚約破棄したのは不当」として、男性に約240万円の支払いを命じている。

KMJでも支援している金稔万さんによる本名損害賠償裁判の判決は原告側の全面棄却という結果となった(1/30)。

判決は、業者は以前の雇用で金さんの本名を認めていた、業者も在日韓国人で本名で働く金さんを評価していた等の点から業者に通名強制の動機はないと判断した。

金さんは控訴するとし、「密室で任意の同意をとったと言いさえすれば、巧妙に通名の使用を強制できてしまうのか」と怒りを顕わにした。

香川県の町立中学校に通うパキスタン国籍の中1男子生徒が同級生からの暴行で重傷を負ったとして、両親が傷害容疑で県警に告訴した(2/18)。

男子生徒は以前から同級生ら4人から、「汚い」「国へ帰れ」などの人種差別発言をされ、足を蹴られるなどの暴行も繰り返し受けていたという。町教育委員会は「いじめはなかった」と否定している。

東京の新大久保(2/9)大阪の鶴橋(2/24)それぞれで在特会などの排外主義者たち約60名が街頭デモを行った。

しかしその内容はとてもデモとはいえない醜悪なもの。

「朝鮮人殺せ」「朝鮮人首吊れ、毒飲め、飛び降りろ」「ガス室に送り込め」…、警官隊に守られ彼らは叫ぶ。

差別を「許容」し「自由」をあたえる。これらが今の日本社会の姿である。(K)